業務用エアコンのフィルターを掃除せず放置するとどうなるのか
業務用エアコンのフィルターは、空気中のホコリや汚れを取り除き、室内の空気を清潔に保つ大切な役割を担っています。
しかし、掃除を怠ると、電気代の無駄な増加や冷暖房効率の低下、健康被害といった深刻なトラブルにつながるため注意が必要です。
本記事では、フィルターの役割や、掃除を怠った場合に起こる不具合を解説します。
また、自分で掃除する際のポイントや注意点、便利なアイテムもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
業務用エアコンのフィルターを掃除しないと発生するトラブル
業務用エアコンのフィルターは、空気中の目に見えないほどの微細なホコリやチリを捕える大切な部品です。
ここでは、業務用エアコンのフィルター掃除を怠った場合に起こる代表的なトラブルについて、4つの視点から解説していきます。
汚れた空気を放出してしまう
業務用エアコンのフィルターが目詰まりを起こすと、空気中の汚れを除去できなくなり、汚れた空気を室内にまき散らす結果となります。
本来、フィルターは空気中の粉塵や花粉、チリを除去する機能を備えています。
しかし、掃除をせずに使い続けると、本来の機能が低下し、汚染物質が循環してしまうのです。
特に、オフィスや店舗においては、人体にとって好ましくない空気環境となり、従業員や顧客の健康にも悪影響を及ぼしかねません。
フィルターの掃除は、エアコンのためだけでなく、空間全体の空気環境や人の健康を守るためにも欠かせないのです。
カビが発生してしまう
業務用エアコンのフィルターを汚れたまま放置していると、カビの温床となります。
冷房や除湿運転によって発生する結露と、フィルターに蓄積したホコリが合わさることにより、カビが発生しやすいためです。
カビが繁殖すると異臭の原因となるだけでなく、アレルギーや呼吸器系の不調といった健康被害にもつながります。
店舗やオフィスで長時間運転する業務用エアコンは、特にカビ発生によるリスクが高く、来店客の印象を損なったり、健康状態に影響を与えたりする心配もあるため注意が必要です。
定期的なフィルター掃除を行い、カビの発生を未然に防ぐことは、店舗や施設の衛生管理において重要であると留意しておきましょう。
無駄な電気代が増えてしまう
フィルターが汚れていると、空気の通り道が狭まり、冷暖房効率が大きく低下します。
その結果、必要以上にエネルギーを使ってエアコンが稼働し続けることとなり、非効率な運転で電気代がかさんでしまいます。
ただし、定期的なフィルターの掃除で吸い込みの効率を高めれば、電気代を削減する効果に期待できます。
「たかがフィルター掃除」と思われがちですが、日々のお手入れの積み重ねにより、電気代の節約につなげていきましょう。
故障や劣化の原因になってしまう
フィルターにホコリが詰まった状態が続くと、エアコン内部の部品にもダメージが蓄積されます。
特に、ファンや熱交換器といった重要な部分に汚れがたまると、冷暖房機能に支障が出たり、最悪の場合は運転が停止したりするなど、故障の原因となってしまいます。
一見、単なるフィルターの汚れであっても、放置すると修理費用や機器の買い替えなど、大きなコストにつながるリスクがあるのです。
無駄なコストを抑えるためにも、定期的にフィルターの状態を確認の上、適切なメンテナンスを行いましょう。
業務用エアコンのフィルターを掃除すると得られる効果
業務用エアコンのフィルター掃除は、性能維持やコスト削減、そして職場の健康環境にまで影響するなど、極めて重要なメンテナンス項目です。
ここでは、業務用エアコンのフィルター掃除で得られる効果について、詳しく解説していきます。
エアコンの効きが良くなる
業務用エアコンのフィルターを掃除すると、冷暖房の効きが良くなるケースも少なくありません。
フィルターには空気中から吸い込んだホコリやチリが常に付着しており、そのまま放置すると吸気経路がふさがれることで、空気の流れが悪くなってしまいます。
すると、設定温度に到達するまでに時間がかかる上に、空調全体のパフォーマンスも著しく低下するのです。
業務用エアコンは、広い空間に対応する必要があることから、大きな出力が求められますが、機能を最大限に発揮するためには、スムーズに空気を取り込まなければなりません。
実際、フィルター掃除後に「エアコンの風量が増えた」「室温の安定が早くなった」と感じるケースもあります。
特に、人の出入りが多い店舗やオフィスでは、空気中にホコリやチリが舞っている状態であり、フィルターの目詰まりも早く進行します。
業務用エアコン本来の性能を引き出し、快適な空調環境を維持するためには、フィルターの定期的な掃除が必要不可欠なのです。
電気代を節約できる
業務用エアコンのフィルターを定期的に掃除すると、電気代の無駄なコストを抑えられます。
フィルターがホコリや汚れで目詰まりを起こすと、空気の吸い込みが悪くなり、エアコン本体がより強い力で空気を取り込もうとして、消費電力が大きく増加してしまうためです。
特に、稼働時間や台数が多い業務用エアコンでは、電力ロスの積み重ねが電気料金に大きく影響します。
そこで、フィルターを掃除し、空気の通り道を確保しておくと、エアコンは必要最小限の力で運転できるようになります。
その結果、冷暖房の効率が高められ、消費電力も抑制されるため、毎月の電気代を節約できるわけです。
企業にとっては、運用コストの見直しにも直結することから、定期的なフィルター掃除は衛生管理に加え、経費管理の一環としても捉えるべきといえるでしょう。
日々の小さなメンテナンスの積み重ねが、長期的に大きなコスト削減効果につながります。
健康被害のリスクを軽減できる
業務用エアコンのフィルターは、ホコリや花粉、カビ、ウイルスなどを含む微細な粒子をキャッチする役割を担っています。
フィルターを定期的に掃除することにより、空気中の有害物質の拡散を抑えられるため、健康被害のリスクを大きく軽減することが可能です。
反対に、汚れたままの状態では、有害物質がフィルターをすり抜け、汚れやウイルスが室内に放出されてしまいます。
その結果、アレルギー症状の悪化、喉や目の不快感、咳や喘息といった症状を引き起こす恐れがあるため、フィルターの状態には注意しなければなりません。
また、長時間稼働させる業務用エアコンの場合、空気の循環量も多く、フィルターが果たす役割は家庭用エアコンよりも重要といえます。
特に、飲食店や医療機関、学習塾、オフィスなど、不特定多数の人が出入りする環境では、空気の清浄性が印象や信頼にも関わってくるでしょう。
業務用エアコンのフィルターを清潔に保つことは、単なる衛生管理という枠を超え、事業者としての信頼性や利用者満足度の向上にもつながります。
そのため、フィルターを定期的に掃除し、健康上のリスクを未然に防ぎながら、快適で安全な空間づくりを実現していきましょう。
業務用エアコンのフィルター掃除に関する押さえておきたいポイント
業務用エアコンは、一般的な家庭用エアコンよりもフィルターに負担がかかりやすく、掃除や管理の方法も少々異なります。
ここでは、フィルター掃除に関して押さえておきたい基本的なポイントについて、3つのポイントに分けて解説していきます。
業務用エアコンのフィルターは汚れやすい
業務用エアコンのフィルターは、家庭用と比べると、圧倒的に汚れやすい傾向にあります。
例えば、飲食店やオフィス、工場や商業施設は人の出入りが多く、空気中にホコリ・衣類の繊維・髪の毛・油分など、さまざまな汚染物質が含まれているためです。
業務用エアコンは、汚れた空気を絶えず吸い込み続け、フィルターに短期間で大量の汚れが蓄積していきます。
特に、床置き型や天井カセット型のエアコンは、室内の空気を直接吸い込む構造であり、フィルターが汚れやすいため注意が必要です。
また、定期的に掃除しないと、目詰まりを起こして空気の流れが悪くなり、冷暖房の効率低下や異音の発生、悪臭の原因にもなります。
業務用エアコンのフィルターの汚れやすさは、使用環境が大きく影響しているため、人の出入りが多い環境ならば、日頃から積極的に掃除する意識が大切です。
定期的な掃除が必要
業務用エアコンのフィルターは、定期的に掃除しないと、さまざまなトラブルの原因となるケースも少なくありません。
目詰まりを起こしたフィルターは、空気の吸い込みが悪くなることから、冷暖房効率が下がって無駄な電力を消費する結果となります。
また、フィルターにたまったホコリが湿気を含むと、カビが発生して室内に悪臭を放つ可能性もあります。
環境を悪化させるリスクを防ぐためには、業務用エアコンのフィルターを定期的に掃除する習慣が不可欠です。
一般的には、1~3カ月に1度がフィルター掃除の目安とされています。
ただし、この期間はあくまでも目安であり、実際の汚れ具合を確認の上、掃除する期間を定めるようにしましょう。
特に、油分を含む空気が循環する飲食店や、ホコリが多く舞いやすい工場などでは、より短いスパンで掃除したほうが良い場合もあります。
さらに、季節の変わり目には期間に関係なく、フィルターの汚れ具合をチェックしましょう。
掃除機で汚れが取れない場合がある
業務用エアコンのフィルターに蓄積した汚れは、掃除機で簡単に取り除けない可能性があります。
特に、飲食店で厨房の近くに設置された業務用エアコンの場合、油分を含んだ汚れや微細な粒子が表面にこびり付き、通常の掃除機では十分に落としきれないケースがあるのです。
汚れがひどい場合は、高圧洗浄機による水洗いが必要となることもあります。
ただし、誤った使い方をすると、かえってフィルターの素材を傷めてしまう恐れがあるため、取扱いには十分に気を付けましょう。
業務用エアコンのフィルターを自分で掃除する際のコツ・注意点
業務用エアコンのフィルター掃除を定期的に行うと、衛生面・省エネの両面で大きな効果に期待できます。
ただし、業者に頼まず自身で作業する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
タイプによって外し方が異なる
業務用エアコンは「天井カセット型」「壁掛け型」「床置き型」など、タイプによってフィルターの構造や、外し方が異なります。
無理に引っ張ると破損の原因となるため、必ずマニュアルを確認した上で、着脱作業を行いましょう。
電源をオフにする
作業前には必ずリモコン操作で電源を切り、可能な限りブレーカーを落としておくと安全です。
通電状態で内部に触れる作業を行うと、感電や故障のリスクがあるため、事故を防ぐ基本動作として徹底しましょう。
道具を準備しておく
フィルターを自分で掃除する際には、掃除機・柔らかいブラシ・中性洗剤・乾いた布など、必要な道具を事前に準備しておくと、作業がスムーズに進みます。
道具を選ぶポイントは、フィルターの素材を傷つけないものを使用することです。
分解しすぎに注意する
自分で掃除する場合は、フィルターや外装カバーまでにとどめ、内部の部品には触らないのが原則です。
分解しすぎると、元に戻せなくなったり、保証対象外の故障につながったりする恐れがあります。
裏側から掃除するのが基本
業務用エアコンのフィルター表面に見えるホコリは、裏面から吸い込まれています。
繊維の奥まで効率よく汚れを取り除くためには、裏側(吸気側)から掃除機をかけましょう。
配線部分や電子パーツに触れない
業務用エアコンの内部には、電子基板やセンサー類があるため、掃除中に不用意に触れると故障やショートの原因となります。
そのため、濡れた手や道具が接触しないよう、十分に注意が必要です。
掃除スプレーは極力使わない
市販のエアコン用スプレーは家庭用であり、使用方法を誤ると、基盤を腐食させるリスクがあります。
業務用エアコンのフィルターの汚れがひどい場合は、水洗いが基本です。
傷を付けないように注意する
強くこすりすぎたり、硬いブラシで擦ったりすると、フィルターの目が破れる、もしくは変形する恐れがあります。
掃除する際は力を入れすぎず、優しく丁寧に作業しましょう。
直射日光に当てて乾かさない
水洗いしたフィルターは、日陰で自然乾燥させるのが基本です。
直射日光に当てると、樹脂素材が劣化してしまい、フィルターの寿命を縮める原因となります。
そのため、直射日光を避け、完全に乾燥させてから取り付けましょう。
業務用エアコンのフィルター掃除に役立つアイテム
業務用エアコンのフィルター掃除を定期的に行うと、衛生面・省エネの両面で大きな効果に期待できます。
ただし、業者に頼まず自身で作業する際には、以下のポイントを押さえておきましょう。
フィルター掃除用ブラシやすき間ブラシ
細かな目詰まりの除去には、専用のフィルター掃除ブラシや、すき間ブラシが効果的です。
柔らかい毛先のブラシでフィルターを傷つけずにホコリをかき出せるため、繊維の奥まで汚れが入り込んでいる場合に活躍します。
エアコン洗浄カバー
室内での水洗い作業では、周囲に水が飛び散らないよう「エアコン洗浄カバー」があると便利です。
作業スペースを汚さずに掃除ができ、片付けの負担を減らしてくれます。
歯ブラシ・スポンジ・つまようじ・綿棒
細かい凹凸やフィルターの角部分には、日用品が掃除道具として活躍します。
歯ブラシで軽く擦ったり、スポンジで広い面を優しく洗ったり、つまようじや綿棒で汚れをかき出したりなど、目的に合わせて活用しましょう。
ただし、無理に強くこすらないよう注意してください。
洗剤
汚れがひどい場合は、柔らかいブラシを使い、液体中性洗剤を溶かしたぬるま湯でやさしく洗いましょう。
特に、油煙やカビなどのしつこい汚れに効果的です。
ただし、50℃以上のお湯で洗うと、フィルターが変色・変形する恐れがあります。
そのため、必ずぬるま湯を使い、洗浄後は日陰でしっかりと自然乾燥させてから再装着してください。
業務用エアコンの掃除を業者に依頼する方法もある
業務用エアコンのフィルター掃除において、内部の汚れがひどい場合や、日常業務で手が回らないならば、プロの業者に依頼するのも選択肢の一つです。
ここでは、業者に依頼する際に知っておきたいポイントを解説していきます。
分解洗浄してもらえる
業者に依頼すると、自分では難しい内部の分解洗浄まで対応してもらえます。
奥に入り込んだ汚れやカビも、高圧洗浄機で徹底的に除去することにより、異臭や冷暖房効率の改善にもつながるでしょう。
依頼するタイミング
フィルター掃除の依頼に適したタイミングは、冷暖房の切り替え時期や、長期間使用していなかったエアコンの再稼働前です。
また、フィルター掃除だけでは臭いが取れない、風量が弱いなどの症状があるときも、依頼を検討しましょう。
料金がかかる
業者に依頼すると、当然ながら費用が発生します。
料金は、台数・機種・清掃範囲によって異なりますが、費用対効果を見極めた上で、計画的に検討することが重要です。
業者選びは慎重に
業者によっては、掃除の技術や対応力に差がある可能性があります。
価格だけで判断せず、実績や口コミ、保証の有無なども確認しましょう。
古い業務用エアコンの掃除に費用がかかるなら買い替えもおすすめ
長年使用している業務用エアコンの場合、掃除や修理を重ねていても、本来の能力を発揮できなくなっているケースは少なくありません。
特に、内部洗浄に高額な費用がかかるようであれば、電気代や保守費用を含めたトータルコストを見直すタイミングでしょう。
最新機種は、省エネ性能が大きく向上しており、長期的なランニングコストの削減にもつながります。
これらのことから、メンテナンスや修理を繰り返すよりも、業務環境の快適性とコスト効率の両立ができる新しい業務用エアコンへの買い替えがおすすめです。
業務用エアコンのフィルターを掃除せず放置するとどうなるのか まとめ
業務用エアコンを常に清潔に保つためには、フィルター掃除を含む定期的なメンテナンスが不可欠です。
空調効率や衛生面の維持はもちろんのこと、電気代や故障リスクの軽減にもつながります。
ただし、年数が経過した古いエアコンは、掃除や修理にかかる費用がかさむケースもあるため、性能面やランニングコストを考慮して買い替えを検討するのも選択肢の一つです。
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